相手を「勇気づける」フィードバックをする
『職場を幸せにするメガネ』の著者、小林嘉男さんがチームリーダーと週次面接を行うようす
上司が部下に対して行いたいフィードバック、それは「褒める」でも「叱る」でもなく「勇気づけ」のフィードバックです。
今回も『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋する形で、上司から部下へのフィードバックについて考えていきたいと思います。
~以下、本文より抜粋です。~
勇気づけとは、共同体感覚が強まる関わりのことであり、グッドサイクルを形成していく行為です。
では、実際に職場でどのように勇気づけしていけばよいのか考えていきましょう。
まず始めに大切なのは、部下の頑張りをしっかり見るということです。
よく「うちの部下は売上もあげられない人間ばかりですよ。頑張っているところを探すっていったって、そりゃ無理ですよ」といった声を聞きます。
この上司は、部下の何を見ているのでしょうか?
売上、つまり「成果・結果」を見ているわけです。成果を挙げることはもちろん必要なのですが、成果・結果というのはいろいろな要因が重なり合って出てくるものなので、必ずしも部下本人がコントロールできることばかりではありません。
常に結果を出すことを求めたり求められたりする関係は長続きせず、職場の幸福度は下がってしまいます。
では、成果・結果を見るのではないのだとしたら、何を見ればよいのでしょうか?
それは「プロセス」です。
ダニエル・キム教授の提唱した、組織の成功循環サイクルの図を覚えているでしょうか?
「プロセス」とは、あの図における「関係の質」「思考の質」「行動の質」の部分を指していると考えてください。
なぜなら、「結果の質」は本人でコントロールしにくい(売上が上がるかどうかは顧客の事情によるところが大きい)けれども、「関係の質」「思考の質」「行動の質」は本人でコントロールしやすい(いいアイデアを考えたり、訪問数を増やしたりは自分次第でできる)からです。
「関係」「思考」「行動」の質が向上すれば、グッドサイクルは必ず加速されます。それに伴って「結果の質」も、たとえ時間差があったとしても、必ず向上するのです。
『職場を幸せにするメガネ』P.217より引用
ですから、結果が良かったときも、伴わなかったときも、常に「関係」「思考」「行動」のプロセスでの取り組みに注目したいのです。そして、以前よりも成長・進化したところに目を向け、フィードバックしていきましょう。
数字など目に見える「結果・成果」ではなく、目に見えにくい「プロセス」における部下の成長・進化をフィードバックする――そのためには、常に部下のことを見ている必要があります。
仲間の成長・進化を、決して見逃さない。
そんなメガネを、私たちリーダーはかけ続けていたいですね。
~以上、本文からの抜粋です。~
目に見えにくい「プロセス」をしっかりと見て、部下の成長・進化した点をフィードバックする――決して簡単なことではありません。だからこそ、「自分は幸せ職場を創るリーダーとなるんだ」と決める「覚悟」も求められるでしょう。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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上司と部下は、上下関係でなく「横の関係」でつながっていることが大切
部下が職場で「自分はチームに役に立つ存在なんだ」という思いを高めていくためには、適切なフィードバックが必要です。
そこで、今回も『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋する形で、上司から部下へのフィードバックについて考えていきたいと思います。
~以下、本文より抜粋です。~
上司から部下にフィードバックする――そう聞くと、多くの方が「褒める」を連想されると思います。
「褒めて伸ばす」という表現があるとおり、一般的には「褒める」ことは良いことだと認識されていると思いますが、アドラー心理学では必ずしも良いとはされていないのです。
ここで、「うん? 『褒める』を良しとしない、ってどういうこと?」と思われた方もいらっしゃることでしょう。
「勇気づけ』」の回で「褒めても叱っても、相手の共同体感覚が強まる関わりであれば、それは勇気づけとなる」と書きました。
「『褒める』という行為は良くない」とまでは、あえて書きませんでした。
ここで、しっかりと説明したかったからです。
では、なぜ「褒める」という行為を、アドラー心理学では良しとしないのでしょうか?
それは、アドラー心理学では「すべての人間関係は『横の関係』であるのがふさわしい」と考えているからです。
上下関係においては、上は権力で下を動かそうという力が働きます。
下は、それに従っていればいいという姿勢になりがちです。
これは、アドラーが言う「私たちは人生の主人公なんだ」という考え方と相反する姿勢です。
親と子、教師と生徒、社長と新入社員……単に役割の違いがあるだけで、横の位置でつながっている――私たちは、一人ひとりが人生の主人公として、お互いが対等な「横の関係」でありたいのです。
この「横の関係」という言葉を踏まえて「褒める」を見直してみましょう。
すると、上から下へ評価する、上下関係を象徴する行為であることがわかります。
なぜなら、上司が部下に対して「○○さん、頑張りましたね」とは言いますが、社員が社長に「社長、頑張りましたね」とは言わないからです。
ですから、アドラーは褒めることを良しとしないのです。
ただ、なかには、
「関係に上下がないだって? 社長と新入りは対等で、単なる役割の違いだって? そんなの冗談じゃない。上にいくために今まで下の立場でさんざん我慢してきたんじゃないか!」
と憤慨される方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今までのことを思えば、その気持ちもよくわかります。
「できる仕事のレベル感がまったく違うだろう」と納得がいかない気持ちもわかります。
たとえその気持ちがあったとしても、その負の連鎖をあなたのところで断ち切っていただきたいのです。
上司と部下の関係が「上下関係」に見えるメガネから、「横の関係」に見えるメガネにかけ替える――。
これが職場の「関係の質」を向上させ、グッドサイクルを回していくために大切なアクションです。
リーダーに最も必要なこと、それは一緒に働く人たちに幸せになってほしいという気持ち――「愛」だと私は書きました。
ここでもうひとつ加えさせていただきます。
それは一緒に働く仲間への「敬意」です。一人ひとりが人生の主人公として尊重されるべき存在なんだという気持ち――それが敬意です。
幸せな職場をつくるリーダーが持つべきは、
「愛」と「敬意」
なのです。
~以上、本文からの抜粋です。~
役職の違いは、役割の違いにすぎません。「愛」と「敬意」を持って、すべての人と「横の関係」を築いていきたいですね。ひとり一人が人生の主人公なのですから――。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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イチロー選手の言葉は、アドラーの提唱する「共同体感覚を高める3条件」に通じている
以前、当ブログでは、アドラーの提唱する「共同体感覚」について触れました。
アドラーは、
「人が幸せだと感じるときは、次の3つを満たしているときだ」
と言いました。
その条件とは、
①自分が好き(自己受容)
②人は信頼できる(他者信頼)
③私は貢献できる(他者貢献)
です。
この3つの条件を満たすほど人間の幸福度は増すのだ――。
と、アドラーは定義したわけです。
そしてアドラーは、この3条件が満たされている状態を「共同体感覚」が持てている状態と言いました。
さて、そんな中、「第22回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式においてイチロー選手が語った言葉が、ネットニュースの記事になっていました。
<イチロー選手の元記事はコチラです>
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/12/24/kiji/20171223s00001007312000c.html
イチロー選手は、子供たちから
「大切にしている言葉やプレーは何ですか?」
と聞かれ、次のように答えたのです。
「うまくいっていないチームはミーティングで
“自分に自信を持って、チームメートを信頼して、やるべきことをやる”
ということを言う。
この3つをできている人はほとんどいません。
頑張っていないと、自分に自信は持てない。
頑張っているチームメートを見ないと信頼できない。
やるべきことを分かっている人は、ほとんどいません。
みんなには自信を持てる自分、チームメートから信頼される人、やるべきことが自分で見つかる人であってほしいと思います」
表現こそ違いますが、
イチロー選手のコメントと、
アドラーの「共同体感覚を高める3条件」は、
自分に自信を持つ=①自分が好き(自己受容)
チームメートを信頼する=②人は信頼できる(他者信頼)
やるべきことをやる=③私は貢献できる(他者貢献)
という感覚を高めるために行動する、
そうすれば
チームがうまくいく=共同体感覚が高まる
というように、
見事に合致していませんか?
イチロー選手の深い言葉……。
思わずみなさんにお伝えしてくて投稿しました。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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“デキる上司”ほど部下にダメ出しをするのはなぜか?
なぜ上司は部下にダメ出しをしてしまうのか? ダメ出しをせずに部下と良い関係を築くにはどうすれば良いのか? 今回も『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋する形で解説します。
~以下、本文より抜粋です。~
あえて苦手なことやダメなところを
積極的に見せるぐらいのほうが良い
上司には「部下から一目置かれたい」「さすがリーダーと思ってもらいたい」という気持ちが少なからずあります。
特にリーダーになりたての新米上司ほど、その気持ちが強いでしょう。ほとんどのリーダーが、プレイングマネージャーからのスタートになりますから、プレイヤーとしても部下に負けられないという気持ちが、それを助長させます。
その結果、〝デキる上司〞を見せつけたくなることがあります。本人に自覚はないのかもしれませんが、この「見せつけたい」という気持ちが、部下にダメ出しをする要因の一つになっている気がします。
自分自身を振り返ってみても、鬼上司時代の私は、無意識のうちにダメ出しをすることで自分の力を誇示していたのかもしれません。
一方、部下の視点から見れば、仕事がデキる上司であればあるほど、完璧な上司であればあるほど、部下として身構え、萎縮してしまうもの。事あるごとにダメ出しをする上司であれば、なおさらです。
仕事が本当にデキない上司では困ってしまいますが、上司は部下に親近感や安心感を与えるためにも、あえて苦手なことやダメなところを積極的に見せるぐらいのほうが良いのです。部下は、上司の自虐ネタは大歓迎なのです。
「自己研鑽しなさい」と言うよりも、
楽しく自己研鑽している姿を見せる方が良い
私は、よく自分のプライベートの話をします。特に一緒に暮らしているフレンチブルドッグの写真を見せながら、犬の話をします。部内では、すっかり犬好きキャラになっています。また、甘いものがどうしてもやめられない、ポテチがとまらないといったイケてない話もします。
一方で、朝4時に起きて、ジムで走ったり、本を何冊も読んだり、週末はコーチングを学びにスクーリングしていること、プロコーチや研修講師として活動していることなども話します。
部長になっても学び続けている姿勢や好きなことに夢中になっている姿をあえて見せるようにしています。
「自己研鑽しなさい」と言うよりも、楽しく自己研鑽している姿を見せる方が、部下にはちゃんと伝わります。「小林さんのようにイキイキと自分の好きなことに打ち込んで、周りの人に貢献できるように自分もなりたいです」と言ってくれる部下もいます。
経営コンサルタントであり、ビジネス書作家である小倉広さんは『上司は部下より先にパンツを脱げ! リクルートで学び、ベンチャーで試し、社長となって確立した99の仕事術』という本を出されていますが、まさにおっしゃるとおりです。まずは上司から恥ずかしがらずに〝パンツ〞を脱ぐべきです。
上司が個人的なことや失敗談を普段から話していると、部下も自己開示しやすくなります。このような流れで自己開示をしながら相互理解を深めていくことで、部下の上司に対する信頼が構築されていきます。
~以上、本文からの抜粋です。~
〝デキる上司〞としての自分を見せつけたくなる――これが、結果として部下へのダメ出しにつながっていきます。
自分が「学び、挑戦し、成長しようとする姿勢」を見せることで、周りの人は感動し、共感し、応援してくれるのだと思います。
それは、上司―部下の関係にとどまらず、すべての人間関係にあてはまる気がしますね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
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日頃から「Why?」の部分を大事にして想いを伝える
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、信頼関係を構築するために、上司は日頃から「Why?」を伝えることが重要だと言います。今回も本文から抜粋する形で解説していきます。
~以下、本文より抜粋です。~
『感動』という言葉はあっても『理動』という言葉はない
「売上目標を達成しよう」
「お客様第一を徹底しよう」
「もっと自分で考えて行動しよう」
「日々成長しよう」
これらは、ほとんどの企業で言われていることだと思います。
この後に決まって続く上司の言葉があります。
「いくら言っても伝わらない」
「何回言っても部下が変わらない」
一つひとつ上司が発信していることは、どれも正論です。しかし、正しいからといって動かないのが人間です。
よく「人は理屈で動くのではなく感情で動くのだ。『感動』という言葉はあっても『理動』という言葉はない」と言われます。
そこがマネジメントの難しさでもあります。仕事ができるビジネスパーソンほど、ロジカルで正論を主張することが多いものです。
優秀であれば優秀であるほど陥りやすい、マネジメントの罠と言ってもいいでしょう。
では、どうすればよいのでしょうか?
それは「Why?」を伝えるということです。
なぜ売上目標を達成するのか、そのことが自分たちにとってどんな意味があるのか、そのことを伝えたいのです。
その「Why?」に共感するからこそ、部下が動くのです。
例えば、私たち経理部は、経営陣に毎月の業績結果を報告する機会があります。経営陣との真剣勝負の場でもあります。
ですから、その資料を作成するにあたっては、自分たちのミッションである「数知を探求し、すべての関わりある人を最高の結果に導く」を体現する場であること、そこでどれだけの価値を提供できるかがプロとしてのこだわりであり(行動指針:プロのこだわりを持とう!)、どこまで進化できるか、高みを目指し続けよう(行動指針:頂点を目指せ!)というメッセージを部下に伝えます。
聞いている部下たちの顔も真剣な表情に変わっていきます。そして、部下一人ひとりの表情から「やってやる!」という決意のような力強さが伝わってきます。
このように「Why?」を語ることで、部下のプロ魂にスイッチを入れていくのです。
表面的な正論を一方的に伝える上司なのか、常に「Why?」を本質的に考え、伝えてくれる上司なのか、どちらが部下から信頼される上司でしょうか?
言うまでもありませんよね。
上司である私たちは、常日頃から「Why?」をとことん考え、想いを込めて発信していく必要があるのです。
~以上、本文からの抜粋です。~
「人は理屈で動くのではなく感情で動く」――だからこそ、上司は「Why?」を語り、部下の皆さんに共感してもらうことが重要なのですね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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相手の立場に立って考えるためのポイント
前回の投稿
の続き。今回は「相手の立場に立って考えるためのポイント」です。
では、相手の立場になって考えるには、いったいどうすればいいのでしょうか?
『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋する形で、ポイントをお伝えします。
~以下、本文より抜粋です。~
《①今、部下はどんな状況・心理状態なのか?~相手のNow を想像する~》
例えば経理部であれば、決算の真っ只中で猫の手も借りたいぐらい忙しい状況なのか、決算の大詰めを迎えている状況なのか、決算が終わってひと息ついている状況なのか、状況によって部下の状態や関心も違います。
そこでまずは、部下が今どういう状況にいるのかを踏まえた上で、心理状態を想像してみます。「忙しくてさすがに疲れてきたな」なのか、それとも「忙しいけれど終わりが見えてきたぞ」なのか……全体が発している空気、そして一人ひとりが発している空気を、表情や行動などから感じ取ってみるのです。
《②メッセージを聞いた部下にどう感じてほしいか?~相手のAfter を想像する~》
次に、自分が部下にメッセージを伝えた結果、部下にどんな気持ちになってほしいのかを考えます。
「経理部のプライドにかけてもやり抜くんだ」
「上司も応援してくれているし、あともう少し頑張ろう」
「頑張った自分を褒めてあげよう」
など、なってほしい気持ちはいろいろあると思います。
どんな気持ちになれば、部下の幸福度は増すのでしょうか?
メッセージは、一緒に働く大切な仲間へ贈るプレゼントです。
《③Now/After をもとにメッセージを考える》
例えば、こんなふうに考えます。
【Now】
「忙しくてさすがに疲れてきたな」という気持ち
↓でも、あなたが「○○○○○○○○」とメッセージを伝えたことで……
【After】
「経理部のプライドにかけてもやり抜くんだ」という気持ちに変化
あなたが「○○○○○○○○」の中でどんなメッセージを伝えたから、部下の気持ちは変わったのでしょうか?
「君たちにしかできない仕事だから、もうひと踏ん張りしてほしい」
「応援メンバーを呼び、僕も手伝うから、みんなで乗り切ろう」
「終わったらうまいビールを飲みに行こう!」
「必ずできるよ!」……
どんなメッセージかはわかりませんが、あなたのメッセージが部下の幸福度を上げたのなら、そのコミュニケーションは成功です。
メッセージの内容に唯一の〝正解〞など存在しません。相手の状況や心理状態により、常に変化します。
また、全体へメッセージを発信する場合は、単一のメッセージだけでは足りません。例えば「まだまだやれるぞ」という部下と「もうさすがに疲れたよ」という部下が同時にいる状況で発信する場合は、それぞれの心に届く内容を考える必要があります。
リーダーは、コミュニケーションを通して、より良いAfter を部下にもたらす専門家です。瞬間、瞬間で何がベストかを求められ、これでいいというゴールもありません。だからこそ、マネジメントは奥深く、やりがいがあり、面白いのです。
《④伝える前に想像してみる》
実際に部下に伝える前には、自分の中で部下になったつもりで、上司から言われたらどう感じるかシミュレーションしてみるといいでしょう。「冒頭で感謝の気持ちを伝えられると嬉しいな」あるいは「この表現だと責められている気になるな」など、事前に相手の立場になって想像することでメッセージの内容や表現を調整できるからです。
「メッセージは、一緒に働く大切な仲間へ贈るプレゼント」と書きましたが、自分が気に入っているものを贈って(自分の伝えたいことを伝えて)、相手が喜んでくれなかった(幸福度が下がった)のでは、プレゼントの意味がありません。大切な仲間だからこそ、何をプレゼントしたら喜ぶか相手の立場に立って十分考え、想像し、届けたいのです。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
メッセージの内容に唯一の〝正解〞など存在しません。あなたのメッセージが誰かの幸福度を上げたのなら、そのコミュニケーションは成功なのです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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上司から部下への自己開示――どの機会に、何を話すと良いのか?
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「幸せ職場」をつくる上で、重要なステップは次の4つであると考えています。
ステップ3「お互いを知り、信頼関係を構築する」の段階では、聞き方とともに伝え方も重要です。
今回は伝え方の1つである「自己開示」について見ていきましょう。
~以下、本文より抜粋です。~
相手を理解して、初めて理解される
上司が部下に関心を持つのと同時に、上司自身が部下に自己開示していくことも必要です。
ただし、ここで心に留めておきたいのは、上司が部下に関心を持つことが先だということです。上司が部下に関心を示さず、一方的に自分のことを話しても、部下はほとんど話を聞かないでしょう。アドラー心理学の影響を受けたとされるスティーブン・R・コヴィー氏のロングセラー『7つの習慣』の第5の習慣にも「理解してから理解される」とあります。相手に理解してもらいたいと思うなら、まず自分が相手を理解しようとすることから始める――これがコミュニケーションの原理原則なのです。
上司の自己開示は、「どの機会に、何を話すのか」が重要なポイントです。
まずは、どの機会に話すのか、タイミングについてです。
最も避けたいのは、部下との1対1の時間に、上司が自分のことを話し続けてしまうことです。部下との貴重な1対1の時間は、可能な限り部下の話を聞く時間にすべきです。
部下の話そっちのけで上司がずっと自分のことを話し続けると、部下は
(自分中心な人だなあ……。日頃は部下の幸せが大切とか何とか言っているけど、そんなのは結局ポーズでしかないんだな……)
という気持ちになります。
言行一致は、上司に求められる、とても大切な要素です。
では、どのようなタイミングが適しているのでしょうか?
それには、やはり全員がそろう朝礼や部会などの場がいいでしょう。上司が自分の考えを伝えるべきときにはしっかりと伝える、部下の話を聞く時間には集中して聞く。この2つを切り分けたほうがいいからです。
相手の立場に立って自己開示する
次に、何を話すのか、内容についてです。
小さい頃から学校でさんざん言われた、
「相手の立場になって考えなさい」
という言葉。
上司となった今こそ、これを実践するときなのです。
「部下は今、何に興味関心があり、上司である私がどんなメッセージを発信することが彼らにとって効果があるのだろうか」
と、あくまでも「受け手」にとって意味のあることを発信したいのです。
イラスト 森田さやかさん
私には、鬼上司時代の苦い経験があります。自分が良かれと思っていることでも、必ずしも部下が同じように受け止めるとは限らないと痛感しています。
当時の自分は、誰もが自分と同じように、「仕事がデキるようになりたい」「成長したい」と思っていると信じて疑いませんでした。そのため、部下へのメッセージは、「仕事がデキるようになるために何が必要か?」「成長するために何が必要か?」という、自分にとって意味があることに偏っていたのです。
全体ミーティングで毎回のように同じ話をされ、1対1の個別面談でも同じようなことを言われ、さらにダメ出しまでされるのですから、当時の部下はうんざりしていたと思います。にもかかわらず、何度伝えても変化が見えない、反応がない部下に、私は内心イライラしていたのです。そして、「何回言ったらわかるんだ!」「いい加減にしろ!」と心の中で叫んでいました。
「何回言ったらわかるんだ!」――この言葉が出たら危険信号です。
上司がかけているメガネを、部下に一方的に押しつけている可能性があります。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
「相手の立場になって考える」――シンプルですが、良い人間関係を構築するための原点となる、非常に奥の深い言葉ですね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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「部下の関心」に関心があるか? 「部下の自分軸」に関心を寄せているか?
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「幸せ職場」をつくる上で、重要なステップは次の4つであると考えているそうです。
ステップ3「お互いを知り、信頼関係を構築する」の段階では、お互いを知ることが重要です。では、具体的に何をしていけばよいのでしょうか?
前回の「初級編」
上司は、部下の個人的事情に「関心」を持つべきか? - アドラー心理学を学んで「幸せ職場」をつくりましよう
に引き続き、
今回は「中級編・上級編」です。
~以下、本文より抜粋です。~
■お互いを知るために(中級編)……「部下の関心」に関心を持つ
部下の属性に関心が持てるようになったら、次は部下が関心を持っていること、つまり「部下の関心」に関心を持ちましょう。
部下への表面的な理解を超えて、部下の思考や心の中で何が起こっているのか、そのことに関心を示したいのです。
「部下には小学校に上がる子供がいる」――これが、部下に関心を持つレベルだとします。
さらにその先に意識を向け、
「(部下には小学校に上がる子供がいるが)その子に小学校受験をさせるかどうかで悩んでいる」――という内容でコミュニケーションを取るのが、部下の関心に関心を持つレベルです。
■お互いを知るために(上級編)……部下の「自分軸」に関心を寄せる
部下に関心を持ち、さらに部下の関心に関心を持つ関係が築けたら、その次は「部下がどうなっていきたいのか?」「何を大事にしていきたいのか?」といった部下の自分軸に関心を寄せましょう。
この段階では、部下に寄り添いながら、部下自身が今まで気づいていなかったような、部下にとって大切なものを、部下の内側から引き出していく「コーチング」と呼ばれる関わり方が求められます。
部下の自分軸が明確になり、それを上司が共有することによって、上司と部下の間で目的論的なコミュニケーションが取れるようになります。常に部下の自分軸を念頭に置いたコミュニケーションになり、なぜ上司がこのようなことを言うのか、その理由も伝わりやすくなります。
ただし、「要するに部下に目標を問えばいいのだな」という軽い気持ちで踏み込んではいけません。上司に同じことを聞かれるたびに「目標がないことは悪いことなんだ」と感じて苦しくなり、部下を追い込んでしまう危険性があります。この危険性があるので、上級編なのです。
ここで絶対にやってはいけないのは、次のような関わり方です。
上司「この先どうなりたいと思う?」
部下「それがよくわからないんです」
上司「わからないことはないだろ?」
部下「……」
上司「だからお前はダメなんだ。目標の一つも持てないでどうするんだ。
次回までに考えておきなさい」
これは極端な例ですが、鬼上司時代の私はこれに近いことをしていたと思います。
部下を追い込んでしまう関わり方になってしまうぐらいであれば、自分軸を引き出すコミュニケーションには踏み込まないほうがよいでしょう。
余談ですが、私は時折、プロコーチ資格を持っているのを知った初対面の方に「以前、コーチング研修を受けた上司から質問攻めに遭って……、それ以来コーチングが苦手なんです」といったことを言われることがあります。質問して答えを引き出すという形だけを真似て、いつの間にか尋問になっていることが大きな理由ではないかと思います。
かなり驚かすようなことを書いてしまい、申し訳ありません。
でも、鬼上司時代の私が犯した過ちを、あなたに繰り返してほしくないのです。
ここまで読んで「部下の自分軸を引き出すには、やはり専門的なコミュニケーション技術を身につけなきゃいけないのか……」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
大事なのは「部下に幸せになってほしい」と心から願う気持ち、つまり「愛」です。
技術の巧拙はほとんど関係ありません。
部下への「愛」が根底にあれば、部下を追い込んでしまうことはないのです。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
「相手に関心を持つ」のが初級編。
それができるようになったら、中級編では「相手の関心に関心を持つ」。
そして、上級編では「相手の自分軸に関心を持つ」。
ただし、「部下に幸せになってほしい」と心から願う気持ちが根底になければ、むしろ技術がむしろ部下を追い込むことになります。「愛」と「技術」の両輪を、大切にしたいですね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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上司は、部下の個人的事情に「関心」を持つべきか?
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「幸せ職場」をつくる上で、重要なステップは次の4つであると考えているそうです。
このうちのステップ3「お互いを知り、信頼関係を構築する」についての話。お互いを知るために、具体的に何をしていけばよいのでしょうか?
~以下、本文より抜粋です。~
■お互いを知るために(初級編)
部下に「関心」を持つ
まずは、部下に「関心」を持つことから始めましょう。
あなたは部下のことをどれくらい知っているでしょうか?
なかには、年齢すらうろ覚えという方もいるのではないでしょうか?
実際、私がこれまでお世話になった上司のなかにも、部下のことにまったく関心のないように見える上司(少なくとも私にはそう思えました)がいました。部下の年齢、どちらが先輩で後輩か、独身か既婚かも把握していない状態でした。仕事はできる方でしたが、今でも残念に思います。
幸せな職場をつくりたい、部下に幸せになってほしいという思いがあれば、自ずと部下に関心が持てるようになるのではないでしょうか?
とはいえ、そういう思いも少しはあるものの、
「会社であり仕事なのだから、部下の個人的なことは知る必要がない」
「個人的なことを聞いても嫌がられるのではないか」
という考えをお持ちの方もいるでしょう。実際、私もリーダーの職に就いている方から、そのように言われることもあります。
でも、果たして本当でしょうか?
論点①/「会社であり仕事なのだから、部下の個人的なことは知る必要がない」
上司は成果責任を負っているのだから、仕事の進捗と成果に気を留めていれば十分で、部下のプライベートなことは上司には関係ないと考えている方もいるかもしれません。そのように区切りをつけたい方は、恐らく「共同体感覚」の感じられない職場で働いていらっしゃるのかもしれません。
「仕事とプライベート(オンとオフ)を切り替える」と言われますが、働いているときの自分も、職場以外にいるときの自分も、同じ一人の人間です。実際には、切り分けようとしても切り分けることは難しいのです。
「子供が病気で入院した」「親の介護で疲れが溜まっている」など、私たちは職場以外のことも気にかけながら働いています。場合によっては、職場の協力が必要なこともあるでしょう。逆もまた然りです。仕事で嫌なことがあれば、それを引きずったまま家に帰ることもあります。
ですから、上司と部下あるいは同僚同士で、オンオフ両方の状況をお互いに把握している状況のほうが、助け合い、応援し合える職場に近づけるのです。
論点②/「個人的なことを聞いても嫌がられる」
これは、上司がどういう目的、意図で聞いているかによると思います。
まだ信頼関係が構築されていないなかで唐突に個人的なことを根掘り葉堀り聞かれても、聞かれるほうは「何か探られている」あるいは「尋問されている」と感じるかもしれません。
一方、上司と部下の間に信頼関係があり、「自分たちの幸せのために聞いてくれている」と部下が理解していれば、同じことを聞かれても部下は嫌な感じを受けないでしょう。要は、「聞く側の上司がどんな想いを持って部下と向き合っているか?」が、部下に伝わるのだと思います。
ここで絶対に避けたいのは、「操作する」という意識です。本書を読んで「部下の個人的なことを聞くと部下は上司を信頼して言うことを聞くらしい。だったら部下を思い通りに動かすために部下に個人的なことを聞こう」と意図し行動することです。
このような意識は、部下に伝わってしまうものです。プラスになるどころか、逆に信頼関係から遠ざかる結果になります。
青臭いと笑う方もいらっしゃるかもしれませんが、リーダーに最も必要なことは「愛」だ、と私は思っています。一緒に働く人たちに幸せになってほしいという気持ち――それが愛です。
マザー・テレサは言いました。
「愛の反対は、憎しみではなく、無関心です」
そうであるならば、「愛」とはすなわち関心を持つこと。私たちリーダーは、部下に関心を持つことから始めたいものです。まずは、部下のこれまでの学歴や経歴、能力、家庭環境など、いわゆる部下の属性に関心を持つところから始めると関わりやすいでしょう。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
「愛の反対は、憎しみではなく、無関心」という言葉は、上司―部下の関係に限らず、すべての人間関係にあてはまることだと思います。心に留めたいですね。
次回は「お互いを知るために(中級・上級編)」を投稿させていただきます。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
※冒頭の写真は下記からお借りしました。いつもありがとうございます!
『職場を幸せにするメガネ~アドラーに学ぶ勇気づけのマネジメント~』
(小林嘉男著)
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部下が「この上司なら」と信頼できる状態を、まずは目指す
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「幸せ職場」をつくる上で、重要なステップは次の4つであると考えているそうです。
今回は、ステップ3「お互いを知り、信頼関係を構築する」についての話です。
~以下、本文より抜粋です。~
【「聞く」「伝える」「フィードバック」で、共同体感覚を強める】
仲間のことをよく知らないまま、全員が黙々と配置につき、船が出航する――。そんな船には乗りたくないですよね?
職場も同じです。
配置表に基づいて自分の配置につき、朝から晩まで誰ともひと言も話さず、黙々と、日々、自分のやるべき役割だけをこなして帰る――。そんな職場には誰も行きたくないですよね? それでは、機械の一部と同じ。想いや個性を持った人間が集い、働く意味が感じられません。そんな職場で、日々ワクワクとやりがいを持って働けるはずがありません。
私は、「仲間」という言葉が大好きでよく使います。同じ職場で働く人たちのことを、仲間だと思っているからです。お互いを知り、信頼関係を構築していく。このステップがあるからこそ、キム教授が言うところの「関係の質」が高まり、組織の成功循環システムのグッドサイクルが回り始めるのです。
組織の「結果の質」を左右するのが「関係の質」であることは以前述べたとおりです
(くわしくは下記の記事をご覧になってください)。
このステップ3は、「関係の質」に直結する大切なステップです。マネジメントの成否の大部分を握っていると言っても過言ではありません。
そこで、
「聞く」
「伝える」
「フィードバックする」
の3つに分けて、それぞれ説明していきたいと思います。
まずは「聞く」に関してです。
【部下が上司に対して「共同体感覚」を持てる状態をつくるように聞く】
では、まず何から取りかかればよいのでしょうか?
チームビルディングという言葉があるように、「職場をつくる」という言葉からチーム全体に働きかけていくイメージを連想する方が多いと思います。
けれども私は、上司と部下一人ひとりとのコミュニケーションが「幸せ職場」をつくる最もベーシックなものだと考えています。
「幸せ職場」とは、結局のところ「幸せな部下の集合体」であるからです。
まずは部下の一人ひとりが職場で最も影響力のある上司との関係性において「共同体感覚」が持てる状態、つまり、
「上司を前にしても自分のことが好きと言える」(自己受容)
「上司のことが信頼できる」(他者信頼)
「自分はチームに必要な存在だと思える」(他者貢献)
の状態をつくっていくことが、最初に取り組むべき一歩です。部下一人ひとりが人生の主人公として光り輝くことを応援するのです。
【部下が上司を信頼できる関係を築く】
共同体感覚のなかでも、中心となるのは「信頼」です。部下が「この上司なら」と信頼できる状態を、まずは目指しましょう。
そのために必要なこと、それは「お互いを知る」ということです。
「上司はどんな考えを持っている人なのか?」
「自分たちに何を期待しているのか?」
「自分たちのことをどう思っているのか?」
――そういったことを理解しているから、
部下は上司を信頼できます。また、「上司は自分のことを理解してくれている」、あるいは「少なくとも理解しようとしてくれている」――そう思えるから信頼できるわけです。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
次回も「聞く」「伝える」「フィードバックする」の3つの最初である「聞く」について引き続き触れていきます。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)は存在しているか?
小林さんは、「組織の共同体感覚を強めていくためのステップ」として、
- ミッション(使命:自分たちの存在意義)
- ビジョン(展望:将来のなりたい姿)
- バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)
- 行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)
をつくることの重要性を説いています。
今回は、このうちの4つめ「行動指針」についての話です。
~以下、本文より抜粋です。~
【行動指針を作成する上でのポイント】
「従業員の行動、活動の拠りどころ」となるのが、行動指針です。
行動指針によって従業員の行動が変わっていかなければ、作成しても意味がありません。
さまざまな企業の行動指針を見てみると、あまりにも詳細に書き過ぎていて、結局、何を大切にして行動していけばいいのかわからず、具体的な行動変容にはつながらないだろうなと感じるものが多々あります。
ここでもわかりやすいのが、ソフトバンクの行動指針です。
前回ご紹介したバリューズ(http://maru-pub.hatenablog.com/entry/2017/11/17/115702)が、行動指針としっかりリンクしているのです。
・やる以上は圧倒的No.1
・失敗を恐れず高い壁に挑み続ける
・登る山を決め、どう行動するか逆算で決める
・スピードは価値。早い行動は早い成果を生む
・言い訳しない、脳がちぎれるほど考え、とことんやり抜く
ご自身が同社の社員であったらどうでしょうか?
非常にわかりやすく、日常の行動に反映させやすいのではないでしょうか?
しかも、口に出して言いたくなるキャッチーな表現ですよね。こんなふうに使いやすい表現は、「そのやり方でNo.1になれると思う?」など、職場で日常的に使われる〝共通言語〞になっていくのです。
行動の指針ですから、文字どおりこれをベースにみんなの行動を変えていきたいわけです。そのためには、全員が合言葉として日常的に口に出して言いたくなる、キャッチーな表現にこだわることが大切です。
その点では、ミッションも、ビジョンも、バリューズも同じです。ただ作っただけでは何も変わりません。どのように運用するか、作成の段階からイメージして臨みたいのです。
【ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針を作る上でのポイント】
では最後に、これらを策定する上でのポイントをあらためて整理しておきましょう。
①リーダーの想い、部下の想いを取り入れて、全員で作る。
②使う言葉の抽象度を意識的に使い分ける。
③策定後の展開まで考えて作る。
④従業員が口に出して言いたくなるようなキャッチーな表現を取り入れる。
それが職場の“共通言語”になっていく。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
今回は「行動指針の作る上でのポイント」と「ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針を作る上でのポイントのおさらい」でした。
何度も書いてしまいますが、「絵に描いた餅」ではなく、日常使いが出来て、しかも効果を発揮する言葉でなければ、作っても意味がないのですね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)が組織の共同体感覚を強めるカギ
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「組織の共同体感覚を強めていくためのステップ」として、
- ミッション(使命:自分たちの存在意義)
- ビジョン(展望:将来のなりたい姿)
- バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)
- 行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)
をつくることの重要性を説いています。
今回は、このうちの3つめ「バリューズ」についての話です。小林さんいわく「『幸せ職場』をつくる上で、とても重要な役割を担っているのがバリューズ」なのだそうです。
~以下、本文より抜粋です。~
【バリューズを作成する上でのポイント】
「企業、組織が大切にしたい価値観」、それがバリューズです。
このバリューズに関して、私たちの経理部では「経理部スタイル」という呼称を用いています。
私たちの経理部では「経理部スタイル」が職場マネジメントの中心にあります。「幸せ職場」をつくる上で、とても重要な役割を担っているのがバリューズなのです。
さまざまな企業の事例を見ると、バリューズをビジョンの中に盛り込んでしまう例も少なくありません。
けれども、実際のマネジメントで機能し、職場の仲間にもわかりやすいので、ビジョンの中に含めてしまうのではなく、バリューズを独立して作成したほうがよいでしょう。
「ミッション」の回でも例に挙げさせてもらいましたが、好例として再びソフトバンクの内容を紹介しましょう。
<ソフトバンクバリュー>
「努力って、楽しい。」
No.1 挑戦 逆算 スピード 執念
【バリューズを具体的に浸透させるための仕組み】
私が仕組みとして最も工夫をしているのが、バリューズの浸透です。
私たちは、バリューズではなく、「経理部スタイル」と名づけています。
経理部スタイルは、「感謝」「寛容」「楽しむ」「Yes, and」「報連相」「スピーディー」「正確」など、全部で20の言葉で構成されています。この言葉は、「自分たちが大事にしたい価値観って何だろう?」とみんなで考え、みんなで出し合い、みんなで選んだものです。
20の言葉は、私たちにとって大切なものばかりです。
そして、私は「一日の中で特に大切にしたい言葉を自分自身で毎朝一つ選び、その言葉を胸に仕事を始める」という仕組みをつくったのです。
例えば、「今日は一年でいちばん忙しい日だけれど、だからこそ『楽しむ』という価値を忘れずにいよう」と思った人は、「楽しむ」という言葉を選ぶわけです。
「バリューズ=経理部スタイル」の浸透活動は、①〜⑥のような仕組みで行っています。
①20の言葉は、プラスチックのネームケースに入る大きさでラミネート加工し、ネームケースに差し込んで身に着けられる状態で保管しています。
②そして、毎朝一人ひとりが、その日大切にしたい言葉を選びネームプレートに差し込みます。
③毎朝の朝礼時間に部員同士でペアを組み、自分の選んだ言葉について対話をする時間を設けています。これによって、バリューズの浸透と部員同士のコミュニケーションの活性化の両方を推進することができるからです。
④毎月チームごとに最も「経理部スタイル」を体現していたメンバーを「ベスト・オブ・スタイル」として選出し、部会で発表しています。
チーム全員のなかから選出されるわけですから、「幸福の3条件」の「自分はチームに役に立っている実感(他者貢献)」と「自分を選んでくれた同僚に対する感謝(他者信頼)」が高まり、「そんな自分にOKが出せる気持ち(自己受容)」も上昇していくのです。
⑤各チームから「ベスト・オブ・スタイル」に選出されたメンバーと私で、「BOSランチ」(「ベスト・オブ・スタイル」を略したBOSと「上司」のBOSSとの掛け言葉)と称してランチを食べることにしています。選出されたメンバーは、もちろん招待です。このランチタイムも、職場の関係の質を上げていくのに効果を発揮しています。
⑥経理部では、毎月11日を「感謝の日」に制定しています。これは、2011年3月11日、東日本大震災の翌月から始めたことです。毎月11日は、全員が20の言葉の中から「感謝」を選んで身に着けます。「こうして全員無事に集い、仕事ができることに感謝をしよう。自分の身の回りのことに感謝する気持ちを忘れないようにしよう」という想いを込めて始めた仕組みです。感謝の日の仕組みも、職場の結束力を高める原動力となっています。
①~③「朝礼」
20の言葉から毎朝一つ選んでネームプレートに差し、朝礼時に自分の選んだ言葉について対話します。
④~⑤「BOSランチ」
「ベスト・オブ・スタイル」に選出されたメンバーと共にランチ。仕事の話は極力せず、近況などを話します。
⑥「感謝の日」
東日本大震災の翌月から開始。毎月11日は、経理部の部員全員が20 の言葉の中から「感謝」を選んで身に着けます。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
バリューズは、小林さんの部署がもっとも大切にしているものの1つです。ただ単に考えるだけではなく、具体的に浸透させるための仕組みとセットで考え、実行する必要がありますね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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ビジョンは、最終的にアクションにまで落とし込まなければ「絵に描いた餅」になってしまう
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「組織の共同体感覚を強めていくためのステップ」として、
- ミッション(使命:自分たちの存在意義)
- ビジョン(展望:将来のなりたい姿)
- バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)
- 行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)
をつくることの重要性を説いています。
今回は、このうちの2つめ「ビジョン」についての話です。『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋します。
~以下、本文より抜粋です。~
【ビジョンを作成する上でのポイント】
「会社や組織がどうありたいか? どうなっていたいか?」を表すものがビジョンです。
ビジョンは、常に追い求める普遍的なものとして表現する場合もあれば、期間を決めて、いつまでにこうなっていたいという策定の仕方もあります。
完成の形は、作り手の意図次第です。
経理部では、部としてのビジョンを作らず、チームごとに3年後のビジョンを策定することにしています。
ミッションで経理部としての方向性を明確にしているので、それを受けてそれぞれのチームで「3年後にどういう状態になっていたいか?」を決め、そのためのアクションプランを策定しています。
ここで留意しておきたいのが、最終的にアクションにまで落とし込まなければ、せっかく作ったビジョンが絵に描いた餅になってしまうということです。
そういう意味でも、活動単位で具体的なビジョンを描くほうが、策定後の活動が展開しやすいと私は思います。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
小林さんの職場では「部としてのビジョンを作らず、チームごとに3年後のビジョンを策定する」という方針でビジョンを策定しているのですね。
「常に追い求める普遍的なものとして表現する場合もあれば、期間を決めて、いつまでにこうなっていたいという策定の仕方もある」ということですので、各職場に合ったビジョン作りができると良いのだと思います。
と同時に、何よりも大事なのは「ビジョンを『絵に描いた餅』にしてしまわないこと」。
バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)、行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)にまで落とし込み、さらには日々の実際の行動につなげてこそ、ビジョンは意味を持つのだと思います。バリューズ、行動指針の作り方のポイントについては、次回以降のブログに書かせていただきます。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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ソフトバンクグループのミッション(経営理念)は、とても参考になる!
小林さんは「組織の共同体感覚を強めていくためのステップ」として、
- ミッション(使命:自分たちの存在意義)
- ビジョン(展望:将来のなりたい姿)
- バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)
- 行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)
をつくることの重要性を説いています。
今回は、この中の1つ「ミッション」についての話です。
『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋します。
~以下、本文より抜粋です。~
【ミッションを作成する上でのポイント】
ミッションとは、「自分たちは何のためにここに集い、どんな役割を果たしていくのか?」という、組織が目指す方向性を示すものです。
ミッションを決める上で重要なのは、方向性を明確にしながらも、どのようにそれを実現していくかは、組織の構成員それぞれが柔軟に考えられるような抽象度に止めておくということです。
【抽象度が低く具体的な例】
「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」
これは、あるアパレル企業のミッションの一部です。「服」を通して、社会に貢献していくことが明確です。ここまで明確に謳っていれば、自分たちは何に注力すべきか、すべての従業員に明確に伝わります。
その半面、ここまで具体的に明確に表現すると、「服」以外の手段は選択肢から外れていくことになります。
それを補完するためなのか、同社のミッションには続きがあります。
「独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します」
これで、「服」以外にも、「人々の暮らしの充実に貢献」することであれば、同社の事業のターゲットになり得ることが従業員にも伝わります。
これは、あくまでも私の憶測ですが、当初は前半の「服」に関するミッションしかなかったものの、「服」を超えて事業を展開させたいという思いが広がり、後半の文章を加えたのではないでしょうか。
企業のステージによって、ミッションも変わってくるということだと思います。
【抽象度が高過ぎる例】
「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援を
すること」
これは、ある世界的な企業のミッションです。
ビジネスをワールドワイドに展開していくという方向性は明確ですが、表現の抽象度があまりにも高いために、ありとあらゆるものがミッションの対象となり得る可能性があります。あえてこのように抽象度を上げることで、従業員に先入観を持たせず、思考の範囲を広げたいという目的があるのならいいと思います。
けれども、そうでないとすれば、自分たちが何をもって社会に貢献していくのかが、従業員に伝わりにくい可能性があります。
【程よい抽象度の例】
「情報革命で人々を幸せに」
さて、このミッションは、どこの企業でしょうか?
孫正義氏率いる、ソフトバンクグループのミッション(経営理念)です。
何をもって社会に貢献していくのか明確でありながら選択の自由度を残した、参考になるミッションではないでしょうか。
同社のミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針は、非常にわかりやすく参考になりますので、同社ホームページのURLを記載しておきます。
http://www.softbank.jp/corp/about/philosophy/
【我が経理部のミッション】
ちなみに、私たち経理部のミッションは次のとおりです。
「数知を探求し、すべての関わりある人を最高の結果に導く」
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
「明確さ」と「選択の自由度」のバランスが大切なのですね。
ここに記載したさまざまなミッションの例が、皆様のミッション作成の際の参考になれば幸いです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針を作ろう
小林さんは、「組織の共同体感覚を強めていくための4つの適切なステップがある」と言います。
そしてステップ1は、
「リーダーとして自分はどんな職場をつくりたいのか?=どういう船にしたいのか?」
「みんなでどこへ向かいたいのか?=目指す港はどこなのか?」
「それはなぜなのか?=なぜそのような航海をしたいのか?」
を、リーダーは日常の場面で少しずつ発信し、共有を図っておく――というものでした。
今回は、ステップ2についての話です。『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋します。
~以下、本文より抜粋です。~
【ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針をつくろう】
次のステップ2では、組織として大切にするものを具体的な形(ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針)にしていきます。
- ミッション(使命:自分たちの存在意義)
- ビジョン(展望:将来のなりたい姿)
- バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)
- 行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)
これらを作らないまま淡々と仕事を進めるということは、船長が何も言わずに「全員の配置と役割」「一日のスケジュール」「達成すべき数値目標」「守るべきルール」などを書いた紙を配り、「この紙に従うように」とだけ言っている――残念ながら実際に多くの企業で行われていることですが――ようなものです。これでは部下のやる気が出るどころか、一刻も早く船から降りたくなるのも当然です。
そこで、幸せな職場をつくるという観点から、ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針の作成のポイントとなる点をお伝えしていきます。
【上司と部下、全員の意見を反映しながら作っていく】
ステップ1を通じて、リーダーのあなたの想いは、ある程度固まっていることと思います。そして、あなたがどんな想いを持っているのか、部下全員に伝わるように表明していることと思います。
ここまで地ならしができたら、上司と部下、全員の意見を反映しながら作っていきたいところです。
なぜなら、このステップ2は、「組織全体で大切にしたい考え方」「なりたい姿」を決める作業だからです。そして、この作業を通じて「一人ひとりが職場の主人公なのだ」ということを共有したいからです。
ちなみに、「コンサルタントあるいは経営企画室主導で経営理念を作り、それをホームページにのせ、社員にカードを配る」といった形で他の誰かの手に委ねる方法は、どうでしょうか?
たしかに見栄えのいいものはできるのですが、正直おすすめしません。なぜなら、形だけ取り入れても、残念ながら機能しないからです。作ったものに魂を吹き込む作業が必要だからです。
よく「経営理念を作って壁に掛けて満足する」という笑い話のような話を聞きます。けれども、これは笑い話でも何でもなく、多くの企業で実際に起こっていることなのです。
【ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針をつくる5つの基本ステップ】
では、どのように作っていけばいいのでしょうか?
詳しい作り方については、『ビジョナリー・リーダー 自らのビジョンを確立し、組織の成果を最大化する』(北垣武文/ダイヤモンド社)、『ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか』(ケン・ブランチャード/ダイヤモンド社)、『ビジョンマッピング やる気を創る技術』(吉田典生/PHP研究所)などの良書があり、詳しい説明がなされていて、とても参考になります。
基本的には、
①リーダーが「日頃、皆さんと話している『この職場で大切にしたいこと』をあらためて言葉にしたい」という旨を説明。
↓
②その上で、リーダーが自分自身で仮作成した、ミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針を紙にまとめて提示する。
↓
③提出期限を設け、リーダーの仮作成物をベースに、よりしっくりくる単語、加えたい単語を一人ひとりに考えてもらう。そして、紙に書いて提出してもらう(一部の人の発言が強過ぎる場合は氏名を書かずに出してもらうほうがよい)。
↓
④後日全員で集合。提出された単語をホワイトボードなどに書き出す。そして、検討し、全員で納得できるミッション、ビジョン、バリューズ、行動指針を作り上げていく。
↓
⑤半年、1年など期間を決め、定期的に内容の見直しを行っていく。
という流れになるかと思います。
~以上、本文からの抜粋です。~
- ミッション(使命:自分たちの存在意義)
- ビジョン(展望:将来のなりたい姿)
- バリューズ(価値観:在り方、大切にしたいこと)
- 行動指針(行動、活動の拠りどころとなるもの)
……この4つをつくることが、ステップ2になるのですね。
それぞれを作る上で意識したい点は、後日の投稿で触れていきたいと思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
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