上司は、部下の個人的事情に「関心」を持つべきか?
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「幸せ職場」をつくる上で、重要なステップは次の4つであると考えているそうです。
このうちのステップ3「お互いを知り、信頼関係を構築する」についての話。お互いを知るために、具体的に何をしていけばよいのでしょうか?
~以下、本文より抜粋です。~
■お互いを知るために(初級編)
部下に「関心」を持つ
まずは、部下に「関心」を持つことから始めましょう。
あなたは部下のことをどれくらい知っているでしょうか?
なかには、年齢すらうろ覚えという方もいるのではないでしょうか?
実際、私がこれまでお世話になった上司のなかにも、部下のことにまったく関心のないように見える上司(少なくとも私にはそう思えました)がいました。部下の年齢、どちらが先輩で後輩か、独身か既婚かも把握していない状態でした。仕事はできる方でしたが、今でも残念に思います。
幸せな職場をつくりたい、部下に幸せになってほしいという思いがあれば、自ずと部下に関心が持てるようになるのではないでしょうか?
とはいえ、そういう思いも少しはあるものの、
「会社であり仕事なのだから、部下の個人的なことは知る必要がない」
「個人的なことを聞いても嫌がられるのではないか」
という考えをお持ちの方もいるでしょう。実際、私もリーダーの職に就いている方から、そのように言われることもあります。
でも、果たして本当でしょうか?
論点①/「会社であり仕事なのだから、部下の個人的なことは知る必要がない」
上司は成果責任を負っているのだから、仕事の進捗と成果に気を留めていれば十分で、部下のプライベートなことは上司には関係ないと考えている方もいるかもしれません。そのように区切りをつけたい方は、恐らく「共同体感覚」の感じられない職場で働いていらっしゃるのかもしれません。
「仕事とプライベート(オンとオフ)を切り替える」と言われますが、働いているときの自分も、職場以外にいるときの自分も、同じ一人の人間です。実際には、切り分けようとしても切り分けることは難しいのです。
「子供が病気で入院した」「親の介護で疲れが溜まっている」など、私たちは職場以外のことも気にかけながら働いています。場合によっては、職場の協力が必要なこともあるでしょう。逆もまた然りです。仕事で嫌なことがあれば、それを引きずったまま家に帰ることもあります。
ですから、上司と部下あるいは同僚同士で、オンオフ両方の状況をお互いに把握している状況のほうが、助け合い、応援し合える職場に近づけるのです。
論点②/「個人的なことを聞いても嫌がられる」
これは、上司がどういう目的、意図で聞いているかによると思います。
まだ信頼関係が構築されていないなかで唐突に個人的なことを根掘り葉堀り聞かれても、聞かれるほうは「何か探られている」あるいは「尋問されている」と感じるかもしれません。
一方、上司と部下の間に信頼関係があり、「自分たちの幸せのために聞いてくれている」と部下が理解していれば、同じことを聞かれても部下は嫌な感じを受けないでしょう。要は、「聞く側の上司がどんな想いを持って部下と向き合っているか?」が、部下に伝わるのだと思います。
ここで絶対に避けたいのは、「操作する」という意識です。本書を読んで「部下の個人的なことを聞くと部下は上司を信頼して言うことを聞くらしい。だったら部下を思い通りに動かすために部下に個人的なことを聞こう」と意図し行動することです。
このような意識は、部下に伝わってしまうものです。プラスになるどころか、逆に信頼関係から遠ざかる結果になります。
青臭いと笑う方もいらっしゃるかもしれませんが、リーダーに最も必要なことは「愛」だ、と私は思っています。一緒に働く人たちに幸せになってほしいという気持ち――それが愛です。
マザー・テレサは言いました。
「愛の反対は、憎しみではなく、無関心です」
そうであるならば、「愛」とはすなわち関心を持つこと。私たちリーダーは、部下に関心を持つことから始めたいものです。まずは、部下のこれまでの学歴や経歴、能力、家庭環境など、いわゆる部下の属性に関心を持つところから始めると関わりやすいでしょう。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
「愛の反対は、憎しみではなく、無関心」という言葉は、上司―部下の関係に限らず、すべての人間関係にあてはまることだと思います。心に留めたいですね。
次回は「お互いを知るために(中級・上級編)」を投稿させていただきます。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
※冒頭の写真は下記からお借りしました。いつもありがとうございます!
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