職場の結束力を高める「4つのキーワード」とは?
「幸せ職場」を創る上で特に重要なキーワードが4つあると、『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは言います。
それはなんでしょうか……? 今回も『職場を幸せにするメガネ』の本文から抜粋する形でお話しします。
~以下、本文より抜粋です。~
キーワード1/「感謝」
私たちは、お互いに支え合いながら生きています。そのことに気づき、感謝できる、謙虚な人でありたいと思っています。
リーダーになると、周りの人から持ち上げられる機会が多くなります。どうしても自分が偉くなったと勘違いしがちです。その結果、いつの間にか上下関係が出来上がります。けれども、つくりたいのは「横の関係」なのです。
考えてみてください。一番たくさんの人に支えられているのは誰でしょうか?
ほかならぬ上司であるあなた自身です。部下が10人いれば10人の部下に支えられて職場が成り立っているのです。
そのことに感謝できる、謙虚な人でありたいですね。
上司が日々の部下の頑張りに対し、感謝の気持ちを伝える――。
これは、最もシンプルで、最もパワフルな、部下の心のコップを水でいっぱいに満たす行為なのです。
上司から感謝された部下は、自分が職場や上司に貢献できた「貢献感」を味わうことができ、そんな自分に自信が持てるようになります。そして、感謝を伝えてくれた上司をさらに信頼できるようになるわけです。
また、上司から感謝された部下は、職場の仲間にも感謝できるようになっていきます。自分自身が感謝されることの素晴らしさを、身をもって体験しているからです。
上司から部下への感謝が、こうやって同僚同士の感謝へと広がっていきます。常にお互いに感謝の気持ちを持って接する職場が、幸せでないはずがありませんよね?
感謝から始まるマネジメント、これが幸せな職場への第一歩なのです。
キーワード2/「寛容」
この世に完全な人など存在しません。どんな人でも、優れたところがあれば欠けているところもあります。
その不完全さを受け入れたいのです。
「寛容」とは、不完全さを受け入れる勇気です。
人の不完全さを受け入れるには、まず自分の不完全さを受け入れることが必要です。リーダーに昇格する人の多くは、自分に厳しくストイックな面があると思います。ストイックな面ももちろん大切ですが、心の余裕がほしいのです。心に余裕ができた分だけ、人に優しくなれます。
鬼上司時代の自分には、このキーワードが欠けていました。毎朝4時に起きて、5時に出社して、ビジネス書を読んでから、自分の仕事に取りかかる……毎日4時間睡眠で働き続けました。それでも「自分はまだまだ甘い」と思っていたのです。
その厳しさは自分だけでなく、部下にも向かいました。それが人を成長させるいちばん良い方法だと思っていたからです。そして、職場からは笑顔が消えていったのです。
キーワード3/「楽しむ」
仕事や働くことを楽しもうとするから楽しくなる。笑顔でやるから仕事が楽しくなる――「リーダーは幸せの専門家」というメガネをかけて、私は初めて気づきました。
仕事が楽しく職場が楽しいと、もっともっと頑張ろうという気持ちになれる。
楽しいから気持ちに余裕ができて、自分にも周りの人にも優しくなれる。
日々、生きること、働くことを楽しむ――。それが幸せな職場につながっていくのだと気づいたのです。
ですから、私たちの経理部は楽しい空気が大好きです。職場に自分の好きなものを持ち込むことを大歓迎しています。アニメキャラクターのぬいぐるみやフィギュア、家族、ペットの写真、けんだま、将棋、オセロなどのゲーム、観葉植物、メンバーそれぞれのデスクが好きなものであふれています。
また、楽しいイベントも大好きです。野球、フットサル、サイクリング、バーベキューなど、休日やアフターファイブも仲間同士で楽しむ、そんな楽しい職場です。
このような話をさせていただくと、顔をしかめる方がいらっしゃいます。
「サークルじゃないんだから。会社は仕事をするところですよ」と。
おっしゃるとおりです。
仕事ですから、成果が求められるのは当然です。
だからこそ、私はあらためて言います。
その成果が挙がるのは、組織の成功循環サイクルのグッドサイクルが回っているときなのです。しかめっ面でギスギスした職場ではなく、みんなが笑顔で楽しく働く職場なのです。
キーワード4/「Yes , and」
そして最後は、「Yes, and」です。
鬼上司時代に私がやっていたこと。それは、部下を鍛えるためにとことんダメ出しをすることでした。いかに部下のできていないところを探すかに力を注いでいたのです。
ですから、私の第一声は、いつも「No(違うでしょ)」だったのです。部下が何を言っても、「違うでしょ。そこはAじゃなくてBでしょ」。
常に否定される部下は、とてもつらかったに違いありません。
にもかかわらず、ミーティングのたびに「もっと意見を言いなさい」「自分の意見を持ちなさい」と言い続けていたのです。自らが、部下が発言しない原因になっているとも気づかずに……。
これがバッドサイクルを引き起こす最大の要因になっていたと思います。
つくりたいのは、否定し合う文化ではなく、認め合う文化です。
その土壌があるからこそ、グッドサイクルが回り続けることができるのです。
ですから、第一声は、「Yes(そうなんですね)」で始まりたいのです。
ここで陥りやすいのが、せっかく「Yes」で受けたにもかかわらず、「But(でもね)」で結局否定しまうことです。
自分の意見を主張したいがために、「But(でもね)」を使ってしまうのです。
そこで身につけたいのは、「Yes(そうなんですね)」で受けて、「And(そして)」で展開する「Yes, and」の習慣です。
習慣と書いたとおり、考えて使うのではなく、習慣として無意識に口に出るようになるまで徹底させたいものです。
「Yes, but」の事例
「Aがいいと思うのですね。でもね、私はBのほうがいいと思うのですが」
「Yes, and」の事例
「Aがいいと思うのですね。そして、私はBの考え方も面白いと思うのですが、いかがでしょうか」
「そして」という表現は日常的には、しっくりこないこともあるので、「さらに」「加えて」「それと」など、肯定的につなげる語彙を増やしておくとよいでしょう。
「Yes, and」を使いながら認め合う文化を醸成していくためには、それにふさわしいメガネがあります。
○か×か?
勝ちか負けか?
黒か白か?
そんな二元論的なメガネをかけているとしたら、そのメガネをかけ替えましょう。
二元論的なメガネをかけていると、どうしても自分と違う意見を否定したくなってしまいます。
この二元論的なメガネから、共に持てるものを出し合って、目指すべきゴールに向かって進んでいくというメガネにかけ替えましょう。
誰の考えが正しいかを競う「競争」ではなく、共に創る「共創」の精神で臨みたいのです。
~以上、本文からの抜粋です。~
2018年平昌オリンピックの女子カーリングチームの口グセ「そだねー」が話題になりましたが、「Yes, and」の習慣は、まさにそれに通じるものがありますね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
※冒頭の写真は下記からお借りしました。いつもありがとうございます!
『職場を幸せにするメガネ~アドラーに学ぶ勇気づけのマネジメント~』
(小林嘉男著)
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