「褒める」ほうがいい? 「叱る」ほうがいい? ~勇気づけとは何か?~
今回は、アドラー心理学の考え方の1つである「勇気づけ」についてです。
『職場を幸せにするメガネ』の本文を抜粋しながら展開していきます。
~以下、本文より。~
勇気づけという言葉の「勇気」の語源は、ドイツ語の「Mut(ムート)」だそうです。人間の体の内側からムクムクと熱く湧き上がるもの、といった意味があるそうです。
アドラーの言葉を使って「勇気づけとは何か?」を説明すれば、「共同体感覚を強める働きかけ」のことです。
↓共同体感覚についてはこちらをご覧になってください
あなたが部下に何かしらコミュニケーションを取ったとします。そのコミュニケーションで部下の内側から湧き上がるものがあり、その結果として部下の共同体感覚が強まれば、それが勇気づけなのです。
【褒めるも叱るも勇気くじき】
最近よく巷で聞くのが、「褒める」ほうがいいのか、「叱る」ほうがいいのか、いわゆる「褒めるVS 叱る」論争です。これらをテーマにした本もよく見かけます。
アドラー心理学では、
「褒める」も「叱る」も「勇気くじき」
になる可能性がある、と考えます。
「どちらの行為がより良いのか?」とは考えません。
褒めても、叱っても、受け取る側の「共同体感覚」が強まれば「勇気づけ」、「共同体感覚」が弱まれば「勇気くじき」なのです。
【叱られるほうが、一般的には共同体感覚が弱まりやすいが……】
ただし……という注釈付きで、この話を続けさせていただきますね。
ただし、一般的には「叱られる、ダメ出しされる」ほうが「共同体感覚」は弱まる危険性が高いのです。
言われたことに少しでも納得がいかなかったり、理不尽に感じてしまうと、「人は信頼できる(他者信頼)」の度合いが下がりますし、仮にダメ出しされたことが正論であったとしても、そのことで自分に対する自信がなくなってしまえば、「自分が好き(自己受容)」の度合いが下がってしまうからです。
【でも、褒める際にも注意が必要】
……と、こんなふうに書くと、「ほら、やっぱりそうじゃないか! だから褒めるほうがいいんだよ」というのが最近の論調です。
だからといって、「褒めておけば間違いない」というわけではありません。褒めることも注意が必要なのです。
なぜならば、「褒めて部下を動かそう、褒めて部下をその気にさせよう」などと操作的に「褒める」行為を使おうとすると、褒められる側には、それが伝わってしまうからです。
力で押さえ込もうとされるよりはまだマシと感じれば、部下は黙って動くかもしれません。けれども、自発的なやる気につながらないことが多いのです。
また、たとえそんな意図がないにしろ、知らず知らずのうちに、褒めてくれないとやらない、褒めてくれないと気分を害する、「褒め依存部下」を育成してしまうかもしれません。
【では、いったいどうすればいいのか?】
「褒めても叱ってもダメなら、お手上げじゃないか。いったいどうすればいいの?」
と思われるかもしれませんね。
昔から「部下一人ひとりに合わせたマネジメントをしなさい」とよく言われますが、まさしくそういうことだと思います。
部下一人ひとり、しかもその時々の状況によって、「共同体感覚」が強まる関わり方が違うということなのです。
~以上、本文より。~
受け取る側の「共同体感覚」が強まれば「勇気づけ」、
「共同体感覚」が弱まれば「勇気くじき」――。
褒められることでムクムクと熱く湧き上がる場合もあれば、本気で叱られることで心に響く場合もあります。1人の人間であっても、その時々で違います。
「褒める」ほうがいいのか? 「叱る」ほうがいいのか?
という問いに答えを出して人と接することよりも、
「自分がどう接すると相手を勇気づけられるのか?」
を考えながら、人と接することが大事なのだと思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日が皆様にとって良い1日でありますように。
※冒頭の写真は下記からお借りしました。いつもありがとうございます!
『職場を幸せにするメガネ~アドラーに学ぶ勇気づけのマネジメント~』
(小林嘉男著)
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