「部下の関心」に関心があるか? 「部下の自分軸」に関心を寄せているか?
『職場を幸せにするメガネ』の著者である小林さんは、「幸せ職場」をつくる上で、重要なステップは次の4つであると考えているそうです。
ステップ3「お互いを知り、信頼関係を構築する」の段階では、お互いを知ることが重要です。では、具体的に何をしていけばよいのでしょうか?
前回の「初級編」
上司は、部下の個人的事情に「関心」を持つべきか? - アドラー心理学を学んで「幸せ職場」をつくりましよう
に引き続き、
今回は「中級編・上級編」です。
~以下、本文より抜粋です。~
■お互いを知るために(中級編)……「部下の関心」に関心を持つ
部下の属性に関心が持てるようになったら、次は部下が関心を持っていること、つまり「部下の関心」に関心を持ちましょう。
部下への表面的な理解を超えて、部下の思考や心の中で何が起こっているのか、そのことに関心を示したいのです。
「部下には小学校に上がる子供がいる」――これが、部下に関心を持つレベルだとします。
さらにその先に意識を向け、
「(部下には小学校に上がる子供がいるが)その子に小学校受験をさせるかどうかで悩んでいる」――という内容でコミュニケーションを取るのが、部下の関心に関心を持つレベルです。
■お互いを知るために(上級編)……部下の「自分軸」に関心を寄せる
部下に関心を持ち、さらに部下の関心に関心を持つ関係が築けたら、その次は「部下がどうなっていきたいのか?」「何を大事にしていきたいのか?」といった部下の自分軸に関心を寄せましょう。
この段階では、部下に寄り添いながら、部下自身が今まで気づいていなかったような、部下にとって大切なものを、部下の内側から引き出していく「コーチング」と呼ばれる関わり方が求められます。
部下の自分軸が明確になり、それを上司が共有することによって、上司と部下の間で目的論的なコミュニケーションが取れるようになります。常に部下の自分軸を念頭に置いたコミュニケーションになり、なぜ上司がこのようなことを言うのか、その理由も伝わりやすくなります。
ただし、「要するに部下に目標を問えばいいのだな」という軽い気持ちで踏み込んではいけません。上司に同じことを聞かれるたびに「目標がないことは悪いことなんだ」と感じて苦しくなり、部下を追い込んでしまう危険性があります。この危険性があるので、上級編なのです。
ここで絶対にやってはいけないのは、次のような関わり方です。
上司「この先どうなりたいと思う?」
部下「それがよくわからないんです」
上司「わからないことはないだろ?」
部下「……」
上司「だからお前はダメなんだ。目標の一つも持てないでどうするんだ。
次回までに考えておきなさい」
これは極端な例ですが、鬼上司時代の私はこれに近いことをしていたと思います。
部下を追い込んでしまう関わり方になってしまうぐらいであれば、自分軸を引き出すコミュニケーションには踏み込まないほうがよいでしょう。
余談ですが、私は時折、プロコーチ資格を持っているのを知った初対面の方に「以前、コーチング研修を受けた上司から質問攻めに遭って……、それ以来コーチングが苦手なんです」といったことを言われることがあります。質問して答えを引き出すという形だけを真似て、いつの間にか尋問になっていることが大きな理由ではないかと思います。
かなり驚かすようなことを書いてしまい、申し訳ありません。
でも、鬼上司時代の私が犯した過ちを、あなたに繰り返してほしくないのです。
ここまで読んで「部下の自分軸を引き出すには、やはり専門的なコミュニケーション技術を身につけなきゃいけないのか……」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
大事なのは「部下に幸せになってほしい」と心から願う気持ち、つまり「愛」です。
技術の巧拙はほとんど関係ありません。
部下への「愛」が根底にあれば、部下を追い込んでしまうことはないのです。
~以上、本文からの抜粋です。~
いかがだったでしょうか?
「相手に関心を持つ」のが初級編。
それができるようになったら、中級編では「相手の関心に関心を持つ」。
そして、上級編では「相手の自分軸に関心を持つ」。
ただし、「部下に幸せになってほしい」と心から願う気持ちが根底になければ、むしろ技術がむしろ部下を追い込むことになります。「愛」と「技術」の両輪を、大切にしたいですね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日も、皆様にとって良い1日でありますように。
※冒頭の写真は下記からお借りしました。いつもありがとうございます!
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