誰もが「メガネ」をかけて世の中を見ている~認知論とは?~
今回は、アドラー心理学の中の「認知論」についてのお話です。
この認知論は、『職場を幸せにするメガネ』という本書のタイトルと大きな関係のある考え方です。小林さんは自分自身を「私」として例に挙げながら、認知論についての説明をしています。
~以下、本文からの抜粋~
アドラー心理学の提唱者であるアドラーは、
「世の中に真実などない。あるのは主観的な解釈だけだ」と唱えました。
そして、そのことを端的にわかりやすく伝えるために、こう言いました。
「誰もが自分だけのメガネを通してモノを見ているのだ」。
人間は誰もが「認知のメガネ」をかけて「主観的な解釈」をしている――。
この考え方を「認知論」と呼びます。
「私はそんな変なメガネ、かけていませんよ! 何の思い込みや偏見も持たずに生きていますから」と言い切れる人は、誰一人いません。
誰もがメガネをかけ、自分の思うように物事を解釈しています。
非常にわかりやすい例で説明します。
私は犬が大好きで、家でフレンチブルドッグを飼っています。私にとって、犬はペットという域をはるかに超えた大切な家族です。
テレビに犬が登場したり、本屋さんで犬の写真集が置いてあると、じっと見入ってしまいます。私は「犬が大好き」というメガネをかけているからこそ、テレビに映る犬、本屋さんの写真集の犬が目に飛び込んでくるのです。
ところが、犬にまったく興味がないAさんは、テレビに犬が登場したり、本屋さんで犬の写真集が置いてあっても、目に入りません。けれども、趣味が自転車のAさんは、街中でロードバイクが通るたびにパッと目がいくのです。
一方、小さい頃に犬に噛まれたことのあるBさんは、犬を見るたびに「怖い」と感じてしまいます。向こうから犬がやってくると、たとえどんな小さな犬であっても、できるだけ距離を取ってすれ違おうとします。
こんなふうに犬という対象だけで考えてみても、
・「犬が大好き」というメガネをかけて犬を見ている私
・「犬にまったく関心がない」という、レンズなしのメガネをかけているAさん
・「犬は怖い」というメガネで犬を見るBさん
……と、人それぞれが違うメガネをかけています。
私たちはありとあらゆる物事に対して、「認知のメガネ」をかけて見ています。
スポーツに対して、自分の親に対して、家を持つことに対して、結婚制度に対して、自分の上司に対して、政治に対して、最近のテレビ番組に対して、自分の部下に対して、満員電車に対して、コンビニスイーツに対して……。
常に膨大な数のメガネを持ち歩き、物事に応じてさっとメガネをかけ替え、物事を見ている……そんなイメージです。
なかでも、あなたの「ずっと信じてきたこと」や「かたくなに信じていること」は、特にお気に入りのメガネです。そのため、あなたはとても頻繁に、そのメガネをかけたがります。
私は「部下を鍛えるのが上司の役割」というメガネをかけていました。このメガネが大のお気に入りでしたから、仕事中はできる限りかけていました。そして、このメガネをかけていることが重要だと思っていたし、当時の自分にふさわしいと思っていたわけです。
~以上、本文からの抜粋~
人は、たくさんのメガネを持っています。
そして、お気に入りのメガネをかけたがります。
自分自身が、どんなメガネをかけているか…?
ゆっくり考えてみるのもいいかもしれませんね。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日が皆様にとって良い1日でありますように。
※冒頭の写真は下記からお借りしました。ありがとうございます!
『職場を幸せにするメガネ~アドラーに学ぶ勇気づけのマネジメント~』
(小林嘉男著)
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