人間関係には「原因論」よりも「目的論」のアプローチがよい
今回も、前回の投稿に続き、目的論についての投稿です。
『職場を幸せにするメガネ~アドラーに学ぶ勇気づけのマネジメント~』の著者である小林嘉男さんは、
「人間の心を伴うケースでは、原因論的アプローチよりも目的論的アプローチで考えたほうが有効なのだ」
と言います。
そして、「実は職場コミュニケーションのほとんどの場合が『人間の心を伴うケース』なのだ」とも。
以下、本文を抜粋しながら解説していきます。
~以下、抜粋です~
原因論的アプローチと、目的論的アプローチ。どちらが正しいというわけではありません。
ロボットや機械など感情を伴わない対象についての見直し(製造プロセスの改善など)においては、原因論的アプローチが非常に有効です。
では、人間の心を伴うケースでは、なぜ目的論的アプローチのほうが有効なのか?
少し深く踏み込んで解説すると、その理由は主に3つあります。
前回の投稿同様、「部下に厳しく指導する先輩の下で働くAさんがいます。Aさんは、先輩の厳しい指導を避けるかのように、他部署に異動していきました」というケースで再び考えてみます。
<理由その1/「真の課題」を見つけやすいから>
もしもAさんの真の課題が「力不足」であり、異動の目的が「自分の力不足を周囲に知られたくなかった」であったとしたら、他部署に異動した後も同じような状況に陥る可能性があります。
先輩の指導に原因を求めるのではなく、Aさんが異動を求めた目的に着目した上で、真の課題と向き合って「どうやってAさんの能力を上げていくか?」を考えるほうが、Aさんにとっても、先輩にとっても、そして会社全体にとっても良い方向に進める可能性が高まります。
<理由その2/自然と個別コミュニケーションをとるようになるから>
Aさんと同じように先輩から厳しい指導を受けているBさんがいます。ところが、Bさんは異動せず厳しい先輩の下で生き生きと働き続けました。
「厳しい指導」が原因であれば、Bさんも他部署に異動しても不思議はないわけです。
では、どうしてBさんは厳しい先輩の下で働き続けることができたのでしょうか?
それは「先輩から自分ができていないところを指摘してもらうことで自分が成長できると思ったから」です。Bさんには「成長したい」という明確な目的があったからです。
どんな出来事も捉え方次第で解釈が変わります。そして、目的も真の課題も人それぞれ違います。目的論を学ぶことで、部下一人ひとりとのコミュニケーションの重要性がわかり、自然と個別にコミュニケーションをとるようになります。
<理由その3/部下が共同体感覚=幸福感を持ちやすくなるから>
原因論的に事象を捉えると、どうしても、ダメなところ、できていないところに目がいってしまいます。部下の成果が挙がらないのは「ここがダメだから」「これもできていないから」となるわけです。
でも、上司と顔を合わせるたびにダメ出しをされたら、部下としては、たまったものではありませんよね。
ところが、目的論的に捉えると、同じく成果が挙がらない部下でも、「部下の成果が挙がるためには何が必要だろうか」という思考になります。
もしかしたら部下の長所を伸ばすことかもしれませんし、たとえ原因論と同じようにできていないところを改善する必要がある場合でも、「もっと成果が挙げられるようになるために、ここを改善したらいいと思うのだけど、どうだろうか」という伝え方ができるわけです。
「君の成果が挙がらないのは、これができてないからだ!」という原因論のアプローチとは部下の受け取り方がまったく違うのではないでしょうか。
~以上、抜粋です~
結局のところ、リーダーが「何をするか」よりも、それを部下が「どのように受け取るか」が大切だ、と小林さんは語ります。
褒めて伸びるタイプ、叱って伸びるタイプといった表現がよく使われますが、「タイプというよりも、『その時々でどのように接することが、部下の目指す目的にプラスになるのかを考えて接していく』ということが大事」なのだそうです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今日が皆様にとって良い1日でありますように。
※冒頭の写真は下記からお借りしました。ありがとうございます!
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